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2020.06.11

校正のトピックスNo.509
【ずっしり重いけど、”エアリー”とは?(ブロックゲージ)】

金属の塊みたいな姿に似合わない?”エアリー”

  • 長さを測るマイクロメーターやノギスなどの基準に使われる測定器が『ブロックゲージ(ゲージブロック)』です。
  • 平滑に整えられた面(測定面)が両端にあり、この間が所定の寸法となっています。各種検査に使えるように、薄い板状から、棒状まで様々な『長さ』が準備されています。

  • 測定面(断面形状)は大きく2種
    レクタンギュラ
    断面は長方形
    断面は9mm×35(30)mm。
    スケア
    断面は正方形
    中央に連結用の孔があります。


  • 大変精密な長さの基準であり、容易に変形しては用をなさない為、材質は鋼、セラミックなどでできています。当然、長いモノはずっしりとした重量感があります。
  • この『ブロックゲージ』、両端付近の側面に線が引かれているものがあります。実はこの線、”エアリー点”と呼ばれる位置にあります。


  • 普通(?)、エアリーといえば、”空気の”とか、”軽快な”など、軽やかなイメージだと思います。
  • 私は、この用語(エアリー点)を知ったとき、対象の『ブロックゲージ』は、硬くて重くて、どう考えても”軽やかさ”とは無縁であって、そのギャップが大変印象に残りました。
  • 今回は、私と同じようにギャップを感じていただけるかな?と思いながら、”エアリー点”について取り上げてみます。

 

エアリーは、”空気の”ではなく、、、

  • ここでのエアリーは、”空気の(Airy)”ではなく、吊り橋などの構造力学に関与した人物名(George Biddell Airy)からのようです。
  • ブロックゲージの分野でいう、”エアリー点”は、ブロックゲージを水平に2点で支持したとき、両端面が最も平行になる位置のことです。
  • と、いうだけではよくわからないと思いますので、図示すると右図のような感じです。


  • ブロックゲージは両端の測定面間が『長さ』を示すものです。
  • そのため、水平に置いたとき、たわみで測定面が傾くと、寸法が定まらず使用目的上好ましくありません。
  • JIS規格では100mm以上のブロックゲージに最も水平になる指示位置を表示するのが望ましい、とされています。ちなみに、エアリー点は測定面から呼び寸法×0.221の場所にあります。

 

肉眼では見えないけれど、実は変形する

  • 先の説明に”たわみで測定面が傾く”と記載しました。
  • そもそも金属の棒が問題になる位たわむのか?という疑問を持たれる方も居られると思います。
  • 細い針金ならともかく、ブロックゲージ(レクタンギュラ)の断面は9mm×35(30)mm。さらに、水平に置く場合は断面の長手方向を縦に置くので、なおのことたわむ気がしません。
  • しかし、μmオーダーでは確かに変形による影響が出るようです。
  • 1000mmのブロックゲージを長手方向を下に向け(倒した状態)、両端で支持した場合、最大寸法と最小寸法の差が45μmでるとのこと(業界誌の情報より)。また、垂直に立てると自重で縮むと記載してある資料もあります。
  • 変形するといっても、使用上は問題になることは多くないかもしれません。
  • それでも可動部がゼロで、単なる(?)金属の棒状の測定器であっても、置き方・支え方一つで測定値に影響する(影響しうる)要素があることを、意外に思われる方も居られるのではないでしょうか。
  • 重ーいブロックゲージの、”エアリー”線のありがたみは肉眼ではわかりませんが、正確さを出すために必要な、”重要な線”、というお話でした。

 

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