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TOPICS

2009.04.10

校正から見た、計量法の世界と、ISOの世界の違い

校正から見た「計測器の管理」

NKSの失敗

事象 経過
電気式台秤を校正 零点調整(ゼロリセット)を行い校正後、精度不良を確認した
調整を行おうとしたところ、
「封印シール」があった
スパン調整を行おうとしたところ、調整部位に「封印シール」がされていた
封印シールを剥がさずに、
表示部を外して調整した
「封印シール」は剥がしてはいけないと思い、表示部を外してCALスイッチを操作しながら調整しようとした
表示がしなくなった 調整作業中にエラー表示となり、お客様に報告した
幸い、再校正で正常復帰した 修理のため社内引取し、再校正で正常復帰した

秤に関する『計量』の豆知識

計量法の、秤の取り扱い方(秤の封印)の決め事

  • 取引証明に使用される特定計量器に関する規則(特定計量器検定検査規則15条)
    • 秤は、器差を容易に調整することが出来ないものであること
    • 器差の調整が出来る秤(調整箇所)は、調整出来ないように『封印』すること

計量法による、封印の目的と機能

  • 計量法の世界では、秤の日常の使い方(秤の移動)を考慮していません
    • 目的
      『封印』は、計量法での検定に合格したことの証明であり、検定した場所(初めの使用場所)から移動して使うことを禁ずる目的も合わせ持っています。
    • 機能
      封印シールが剥がされた場合、それが明確に分かる機能があり、そうした秤は取引証明に使用することは出来なくなります。万一使用されれば、計量法による対策(罰則)がとられることになっています。
  • 計量法で取り決められていること(秤の封印)は、封印された秤を移動させた時には、再度の検定及び封印が必要であることを意味します。

封印を行う者

  • 製造時点では、届出製造事業者及び指定製造事業者
  • 輸入では、承認輸入事業者
  • 修理した時には、修理事業者

現代に於ける計量士の機能(出来ることと限界)

計量士の役割

  • 計量士制度は、計量器の検査、整備及び適正な計量の確保(計量管理)などを行う制度として、旧計量法に基づき1952年に施行。
  • 計量士の活動の大半は、計量法上での計量器の検査、行政機関に代わって行う定期検査(代検査)。
  • その検査の証として計量器に検査済みシールを貼付。
  • しかし…国際規格(ISO)に適合する校正が要求される現代では、計量士の活動、役割は、取引証明用の秤のみの範囲でしか機能しない。
  • 取引証明用の秤に関しては、計量法の決まりの通り、計量士の所轄業務

取引証明用以外の、一般的な秤の取り扱いは?

秤の使用実態からくる計量法の形骸化

  • 現実の一般的な秤は、その使用実態の殆どが移動を伴います。
  • 使用者は、秤を移動した場合、必ず校正を実施して使用することが通常。
  • 従って、校正後に移動させない使い方は極限られており、上記計量法による取り決めは、多くの秤の使用実態と合わなくなっています。

失敗から学んだ当社の方針…ISOの世界から

秤の校正に於ける特性

  • 秤の校正においては、質量の測定原理から…
    • 必ず零点調整(ゼロリセット)を伴う。
    • レンジ(スケール)の調整を伴う場合も多くある。

当社のスタンス

  • 当社の校正作業は、ISO規格に基づいて実施しています。
  • 秤の特性から、調整を含む校正作業については、初期状態を明確にした上で、「現状確認」である校正を実施します。
  • 計量法に定める取引証明用の秤(質量計)は、校正対象外とさせて頂きます。
    • 当社が校正を行った秤は、貴社製品の品質を間接的に立証する用途には有効ですが、計量法の取引証明用としての有効性はありません。

当社の秤(質量計)の校正手順

  • お客様の秤の校正作業(調整作業含む)における取引条件を明確にし、次の手順で実施させて頂きます。
    • 校正作業前の初期状態を確認し、「初期値」として成績書に記載。
    • 校正は、無負荷状態での零点調整(ゼロリセット)を行い、その後個別の校正仕様に沿って実施。
    • 校正終了後、お客様からのご要求により、レンジ調整を実施する場合には、封印シールを剥がして調整作業を行うことになります。

上記内容についてのお問い合わせ(Mail・TEL)/資料請求