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2010.02.11

校正のトピックスNo.34
【デジタルマルチメータ(高精度)
:ウォーミング時間がカギ?】

NKS流「ためしてガッテン!」

良く使用されるデジタルマルチメータでは

  • 前回は、ウォーミングに時間がかかると言われる電子天秤を取り上げ、ウォーミング時間の重要性をお伝えしました。
  • 今回は、電気的な測定器の代表的な機種であるデジタルマルチメータを取り上げ、その1回目として、お客様の試験室などで使われている、高精度(読み取り値 7桁1/2)のデジタルマルチメータのウォーミング時間をお伝えします。
  • 今回の実験は、電源投入直後のデジタルマルチメータのゼロ点の変化、入力電圧の指示値の変化、基板内部の温度変化を時間の経過とともに測定しました。
  • 実験を行うに当たり、使用する電圧発生器は、あらかじめ24時間ウォーミングアップし、出力電圧を安定させた状態で実験を行いました。

電源投入直後からのゼロ点と入力電圧の指示値の変化

を実験しました

    • 【実験の条件】

      (1)環境温度をほぼ一定にした部屋(23~24℃ 42%RH)で

      (2)電源投入直後のデジタルマルチメータのゼロ点とDC1Vの

      指示値の変化、基板内部の温度変化を時間の経過とともに

      測定しました。

    • 使用した測定器は、

      (1)電圧発生器:5720A フルーク社製

      (出力電圧の変動幅は、設定電圧の±3.5ppm以内で

      デジタルマルチメータへの影響は無視できる状態)

      (2)デジタルマルチメータ:2010 7桁1/2 ケースレイ社製

実験:デジタルマルチメータ(2010)の電源投入後の時間の経過と共に

基板内部の温度、指示値の変化、ゼロ点の変化を測定

測定器: (1)電圧発生器:5720A フルーク社製

被測定器:(2)デジタルマルチメータ:2010 7桁1/2 ケースレイ社製

測定環境:23.8~24.8℃ 42~48%

 

 

ウォーミング時間による指示値の変化は?

  • 【実験結果から】

    (1)基板の内部温度は、電源投入後、約100分で安定しました。

    (2)基準となる電圧発生器からの入力電圧の変動幅は、実際に測

    定し、±1.0μV以内で、デジタルマルチメータの測定精度に

    対して10倍以上の精度で安定した状態でした。

    (3)デジタルマルチメータ2010の10Vレンジの精度は

    ±(24ppm ofreading+4ppm ofrange)

    DC1Vの入力の場合の許容値は

    ±(24ppm×1V)+(4ppm×10V)=±60μV=±0.000060V

    (4)1V入力時の変化は、電源投入後、約20分までは、小数点

    下5桁の位で変化し、それ以降は、小数点下6桁の位の変化

    で精度内で安定しました。

デジタルマルチメータのウォーミング時間は

  • 前回の電子天秤のウォーミング時間の実験でも言えましたが、今回のデジタルマルチメータでもウォーミングアップをどれだけ行ったかが、測定の正確さの鍵になります。
  • また実験に使用したデジタルマルチメータの様に、小数点下6桁まで読み取ることが出来る高精度な測定器ほど、ウォーミング時間をしっかりかける必要が有ります。
  • ちなみに取り扱い説明書には、測定環境温度、23℃±5℃の条件で、2時間以上のウォーミング時間が必要と記載されています。
  • メーカーに問い合わせたところ、

    (1)測定環境温度が、23℃±5℃の状態で、2時間以上の

    ウォーミング時間を行って、初めて測定値が保証できる。

    (2)基板内部の温度の安定時間がウォーミング時間に影響する

    との回答でした。

  • 今回の実験では、最低1時間のウォーミングを行えば、安定した測定結果が得られましたが、メーカーは確実性を考慮して2時間以上のウォーミング時間が必要と言ってみえました。
  • 今回は、7桁1/2と精度の高いデジタルマルチメータで実験を行いましたが、次回は、生産現場で多く使われている読み取り桁数の少ないデジタルマルチメータ(3桁1/2)のウォーミング時間の実験を行ってみます。

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