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2014.09.18

校正のトピックスNo.255
【長さ計の標準温度:雰囲気温度で校正しても良いの?】

校正から見た「計測器の管理」

20℃ではなくても大丈夫なの?

  • 前回、長さ計の標準温度は20℃と決められた経緯についてお話ししました。
  • しかし様々な理由により、普段長さを測定する作業現場では20℃ではなく、23℃や26℃と言った環境温度になっている事の方が多いのが実情です。
  • 当社がお客様の現場で校正をする時、基本的には現場の雰囲気温度で行っています。そこで今回は、そのままの雰囲気温度で校正しても問題ないの?と言う疑問にお答えしていきます。

換算するために、熱膨張係数の研究が進められました

    • 世界で統一した温度に決まる前は、フランスでは0℃、イギリスでは16.67℃と言った温度を各国バラバラに採用していました。しかし、長年使用していた温度を変えるのは、大きな手間が掛かかります。
    • そこで、標準温度で測った時の長さを温度換算して求めようと、標準温度の統一と共に素材毎の熱膨張係数の研究も同時に各国で進み、現在では次のような係数が特定されてきました。

もし、23℃で25mmのマイクロメータを校正すると?

    • 23℃(標準温度20℃に対し+3℃)の環境下で十分に温度慣らしを行うと、25mmのブロックゲージは約0.81μm長く、マイクロメータは約0.88μm長くなりますが、両者の差としては0.07μmであり測定に影響しない事がわかります。
    • 実際に環境温度を変えた実験を行うと、35℃(20℃に対し+15℃)の環境温度下では、0.001mmの誤差が生じたものの、10~30℃(20℃に対し±10℃)の環境温度下では、誤差0.000mmという測定結果でした。
  • 環境温度の違いにより、ブロックゲージもマイクロメータも目に見えない程の差分は有ると思いますが、結果として±0.002mmの誤差範囲に収まっていることが分かります。

当社では、雰囲気温度の状態で校正を行っています

  • 素材毎の熱膨張係数の研究が進められたおかげで、現在使われている長さ計は、標準温度でなくても、常温の範囲では誤差がでにくい素材で作られています。
  • 一方、校正の基本は現状確認で有る為、環境温度に関しても雰囲気温度下で校正を行うのが理想です。
  • そのため、標準温度に換算した形式的な校正結果ではなく、日頃お使いの環境下だと、どの位の数値か一目でわかる校正結果としてお知らせする為に、雰囲気温度での校正を行っています。
  • とは言っても、20℃以外では充分に温度慣らしをしないと温度差がでますので、校正前には温度慣らしをして対応しています。
  • また、当たり前の事ですが、ブロックゲージ等の高精度時の校正は、20℃に空調された部屋で24時間の温度慣らしを行い伸び縮みが出ないよう細心の注意を払って対応しています。

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