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2015.11.26

校正のトピックスNo.310
【キログラム原器:もうすぐ役目が終わりになるそうです】

校正にまつわる豆知識

突然ですが、ある映画を観てきました

  • 「1001グラム ハカリしれない愛のこと」というノルウェーの国立計量研究所に勤める女性科学者の話の映画が公開されています。その場所は日本でいうと計量のトップ機関である産業技術総合研究所(AIST)にあたります。
  • 映画の内容を一言でいうと、厳密さや正確さが求められる校正に従事する主人公が、予測も出来なかった事に直面した事で成長を遂げる物語です。
  • このままでは、映画の紹介になってしまうので、その後の解説は映画評論家の方にお任せし、やはり当社は校正業者なので、映画に出てきた、もうひとりの主人公とも言える「キログラム原器」にスポットを当ててお話しします。

国際キログラム原器は、キログラムのお母さんです

    • 1875年(明治8年)に度量衡の基準を決める目的としてメートル条約が締結され、パリに国際度量衡局(BIPM)という研究所が設立されました。当時ドイツ経由で日本も参加を勧められましたが、見送ったそうです。
    • 一度は見送った日本ですが、1885年にキログラムを定義し原器が作られる話を聞いて参加を決めました。日本では、伊藤博文が初代内閣総理大臣として就任した頃の話です。
    • その後、母親となる国際キログラム原器が白金90%とイリジウム10%の合金製で作られ、1889年に原器の複製である子供達が40ヶできた際に、1つ頂きました。大日本帝国と名を変えた日本には「キログラムの基準が来た」と誇らしげだったのでは?と目に浮かびます。

大切に扱われている原器の役目が終わろうとしています

    • 現在、日本国キログラム原器はAISTで三重扉付き恒温室に保管され、職員の方ですら容易に見る事ができないので、まるで神仏像のような扱いです。
    • やはり校正は必要な為、3・40年ぐらいの周期で、各国がBIPMに持ち込んで行われます。前回の第3回目は、1988から4年間かけて行われました。校正周期も長いのですが、校正期間の長さにも驚きです。
    • しかし、2011年の国際度量衡総会で、キログラムの新定義を行う事を決め、2018年を目標にお役目を終える事になっています。つまり合金で有る限り、削れや汚れは避けられない為、例えば「ある原子を1kg分集めてキログラムとする」などの新定義に関する議論が進められているそうです。

誰もがキログラムの基準を持てる時代がくるかも?

  • 新定義後は、原器が無くなる寂しさを感じますが、逆に言うと原子を1個ずつ集める技術さえあれば、誰もが基準を求める事ができるようになります。ある意味、原器を持つ者と持たざる者の格差が無くなって「キログラム」がより身近になるように感じました。
  • もしかしたら将来、民間の校正業者である当社でも、新キログラムをキチンと出せるようになっているかもと思うと、わくわくしてきます。皆様にお見せできる日を期待して、これからも校正業に貢献していきますので、これからも末永くお付き合い願います。

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