微妙にズレてる?熱電対(温度センサー)の接続間違いにより起こること
- ●昨年末、お客様より設備の温度センサの配線に関するお問合せを頂きました。
- ●『設備の温度がズレてる気がして調べたら、配線が間違っていた。測定値にどの位影響があるか分かりますか?』
- ●実は過去にも配線間違いの事例(センサや計器の+・-極を逆に接続、補償導線の種別間違いなど)をメルマガでお送りしていますが、今回の内容をお聞きすると、それとはまた違った状況でした。

間違いに直ぐ気付けないかもしれない、ズレ
- ●模擬的に”配線間違い”の状況を再現して、測定してみました。


- ●今回テストした環境・状況での結果は、正常な接続に対して0.7℃程度の差異が出ました。
- ●しかし、この『差異』の大きさに影響する端子台と計器端子部の温度差は成り行きで、時々刻々と変化します。また実際の現場では、端子台が熱源付近にあるなどさらに温度差が大きい状況(=大きな差異が出る)も想定されます。
- ●そのため、お問合せに対しては、残念ながら『概ねこの位の影響』と示すことができませんでした。


- ●なお、熱電対センサの許容差(精度)は0.5℃~。種別や温度域によっては1℃や、1.5℃程度以上のものもあります。
- ●以前、『配線間違い』のテストをした時は、温度がプラス・マイナスで大きく反転し、異常がパッと分かる結果でした。それに比べると今回の結果はちょっと異常に気付きにくい位の差異だな、という印象でした。
確実な測定値(配線の正しさ)であることを確認するには?
- ●端子台、計器端子部の温度差が小さく、また測定値が室温付近の場合は、測定値の差異が小さいため、配線間違いに気付けない可能性があります。
接続の正しさを確認するには、以下のような方法があります。
- ●方法1:接続場所(端子台、計器端子部)で+極、-極が正しく接続されていることを、目視確認する。
→但しこれだけだと、多数ある温度センサと補償導線のマッチングや見間違いなどからの誤りを防ぐことが難しい場合があります。
- ●方法2:現場から”温度センサの信号を模擬的に入力して指示を確認する
→測定経路の正しさ(温度センサを除く)を確認できます。
- ●方法3:さらに、現場の温度センサに実際に温度を加えて確認(校正)
→測定経路全体の正しさを確認できます。
- ●(手間は掛かりますが)この作業を行う事で、確実な測定値を得ることに繋がります。