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2022.01.20

校正のトピックスNo.576
【気圧計の点検に気象庁の気圧が使えるかも】

日本の気圧も変化させた大噴火

  • ●15日に南太平洋の島国トンガ付近の海底火山で大噴火が起きました。
  • ●この噴火で、同国や周辺諸国のほか日本や米国など太平洋沿岸の地域に津波が押し寄せたことは皆さんもご存じかと思います。
  • ●今回の噴火の大きさを示す現象の一つとして、日本各地で20時~21時過ぎにかけて、2ヘクト・パスカル程度の気圧変化が一斉に起きていたというのです。すごいですね。ちなみに日本からトンガまでの直線距離は約8000kmもあります。
  • ●このように気象庁は「気圧」を発表しているのですが、その数値を活用して自主点検をしていたことがあります。今回のメルマガでは、その時の自主点検についてお伝えします。

気象庁の発表する気圧を「絶対圧デジタルマノメータ」の大気圧値の確認に使えないか?

  • ●大気圧の値は、気象庁HPのアメダスを見れば10分間隔で手に入れることが出来るのをご存じでしょうか?
  • ●たまたま私が勤務している事業所の近く(直距離で約3 km)に気象庁の観測所があり、アメダスの「気圧」と、当社標準器の絶対圧デジタルマノメータ(入力解放状態で大気圧を示す計器)の大気圧での値を比較することを自主点検の一つとして考えました。
  • ●実際に確認してみると、当社標準器の数値と、気象庁の数値が大きく違い、どうして?と思いました。

気象庁の気圧と現場で測定した気圧は違って当然です

  • ●気象庁が発表している気圧について調べると、「海面更正気圧」というものでした。
  • ●海面更正気圧とは、観測所で計測した気圧を、海水面の高さ(0m)に更正した気圧のことで、事業所のある高さ(16m)で測定した気圧と違って当然でした。
  • ●気圧は高さによる影響が大きいことから、事業所の標高を国土地理院のマップを使って調べ、事業所フロアの高さ、机の高さを加えて「事業所での測定高さ」とし、気象庁の発表する「海面更正気圧」を「事業所での測定高さ」に補正して比較しました。
  • ●そうしたところ、標準器の値と気象庁の気圧を補正した値が、標準器の管理精度内の器差であることが確認できました。
  • ●ちなみに、今回の2ヘクト・パスカルの変動は、高さに変換すると17m程度の差になります。4~5階建ての建物の高さでの上下変動と同じくらいなので、耳に違和感を感じる程ではなさそうです。

日常の点検と定期的な校正の両方とも大事です

  • ●数年間自主的に絶対圧デジタルマノメータを、大気圧で気象庁の気圧と比較点検をして大きな差異がでることは有りませんでした。また、絶対圧デジタルマノメータの定期校正においても、大気圧付近の校正ポイントで精度不良になることが無かったので、少なくとも大気圧での点検はそれなりの精度を伴っていたと思います。
  • ●このような経験から大気圧を測る「気圧計」の日常管理において、気象庁の気圧を使った点検は有効かと思いました。
  • ●ただし、条件としては、①観測所が近くにある、②大気圧を測定する位置は一定にし、海面からの高さを算出する、③気象庁の海面更正気圧を、気圧計の現場標高の値に補正(又は、気圧計の指示値を、海面更正気圧に補正)して比較する④測定時刻を合わせることが必要です。
  • ●近くに気圧を測っている観測所がある場合は、②~④を実施して、「気圧計」の日常点検に活用されてはいかがでしょうか?
  • ●また、日常点検と同じように、指示値のトレーサビリティを確認することも大事です。
  • ●その際には、トレーサビリティのとれている標準器で、1年に1回程度校正を実施しておくと安心です。

  • ●追伸、今回の噴火で被害にあわれた方々の1日も早い回復をお祈りいたします。

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