今回は「GMP」について考えてみたいと思います。
お客様との打合せの中での出来事です
- ●お客様:当社はISO9001の認証企業なんですが、取引先よりGMPに関わる仕事の相談がありました。自分なりにGMPについて調べてみたのですが、あまりよくわかりませんでした。GMPを一言でいうとどんなものですか?
- ●私:一言では難しいですが、GMPはGood Manufacturing Practiceの略です。医薬品、医療機器、食品、化粧品など、業界によっても様々なGMPがあります。ですが、GMPと言えば「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以前は「薬事法」)の事を言う場合が多く、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」のGMPの事をあえて医薬品GMPと言ったりすることもあります。なお、食品においては「食添GMP」、化粧品においては「化粧品GMP」などがありますが、これらは法律(省令)ではなく自主基準です。また、GMPは国によっても異なるので注意が必要です。
- ●お客様:そうなんですね。それで、GMPを一言で言うのは難しいわけなんですね。では、ISO9001とGMPを比較するとどうでしょうか?
- ●私:ISO9001とGMPの比較では、ISO9001は「組織を適切に指揮・管理する仕組み(品質マネジメントシステム)」を制定しているのに対して、GMPはより具体的に「製品製造および品質管理に関わる守らなければならないこと」を制定しています。このように、ISO9001とGMPでは言い方が違ったり、視点が違ったりしているので、対象もその目的も異なるように見えます。が、本質的なところは同じではないかと思っています。
- ●私:GMPの目的はこんなところにあるんだなあと思ったのは、医薬品工場へ打合せに伺った時、壁にかかれた企業理念「その薬、あなたの大切な人に使えますか?」という言葉をみたときでした。
- ●お客様:なるほど。医薬品、医療機器に関わるGMPは、人の命に直結するため厳しい基準が必要なのですね。
- ●私:当社では校正(キャリブレーション)だけでなく、GMPを含むGxP、医療機器、再生医療等のバリデーション支援サービスを提供しています。何かお手伝いできることがありましたら、何なりとお申し付けください。
この様に、ISO9001のお客様もGMPに関わる機会が増えてきているのかもしれません。
そこで、GMPに関して重要と思われる「GMP三原則」と「GMPハード・GMPソフト」について簡単にご紹介いたします。
GMP三原則
- ●GMPにはGMP三原則というものがあります。これは誰が作業しても、いつ作業しても、必ず同じ品質・高い品質の製品をつくるために必要となるものです。以下に三原則を示します。
①人為的な誤りを最小限にすること
②汚染及び品質低下を防止すること
③高い品質を保証するシステムを設計すること
GMPハード・GMPソフト
- ●GMPハードとは「製造の施設/設備/機器」「技術研究の施設/設備/機器」「原料/製品/資材倉庫」「コンピュータシステム」「ユーティリティ」などの構造設備のことです(ソフトウェアはGMPハードに含まれる)。当然のことですが、衛生的な構造設備で医薬品は製造しなくてはなりません。「GMP三原則」が大前提となります。また、構造設備には適格性評価が必要になります。
- ●GMPソフトとは「品質保証システム」「各種手順書」「生データ」「校正記録」「バリデーションドキュメント」「設備/機器の適格性評価」「教育訓練記録」などのルールや記録のことです。例えば「ルールどおりに毎日清掃し、それを記録に残して証拠とする。ときどき、その内容を見直して検討し、改善していく。」ことです。
- ●GMPハードとGMPソフトが車の両輪のように機能することによりGMPの目標(製品の安全性・有効性など)を達成していきます。
- ●当社は規格の要求内容や定義を踏まえながらお客様と協力し合い、お客様の疑問をクリアーにしながら課題解決をサポートしていきます。