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2022.06.09

校正のトピックスNo.594
【 身近なものだから、より意外に感じる?「ものさし」と「定規」はちょっと違う 】

身近にあって深く考えたことがないものってありますよね。今回はそんな身近な“ものさし”と“定規”のお話です。

「定規を貸して!」で「ものさし」以外のものが手渡される可能性

  • ●新年度になり少し経ちましたが、新任者向けの技術・実務の集合教育を行いました。
  • 教育の校正対象計器の一つが“直尺”です。
  • “直尺”、というとちょっと耳馴染みがないですが、目盛りのついた板状の測定器で、一般的には“ものさし”です。
  • 教育の資料を纏めながら、以前先輩に「 “直尺”と“定規”は同じではない」と言われたことを、ふと思い出しました。 “直尺” ≠“定規”ということは“定規”と“ものさし”も同じではない、ということになります。
  • 日常生活で物を貸し借りする際に「定規を貸して!」と言ってものさし以外のものを渡されることは少ないと思いますが、一体どういうことなのでしょうか。

「ものさし」、「直尺」、「定規」はどう違う?

  • 「ものさし」は、みなさんご存知のとおり、一般的には目盛が付いていて、長さを測る道具のことをいいます。 ちょっとした長さをはかるため、15cmとか30cm程度の長さものが多くのご家庭にもあるのではないでしょうか。
  • 材質はプラスチックやアルミニウムのものが多く、文具コーナーにある印象です。
ものさし
  • 「直尺」は、一般的には「真っ直ぐ」な「ものさし」のことをいいます。真っ直ぐな「定規」と「ものさし」両方の機能を備えており、直線を引いたり、カッターを当ててカッティングに使用したり、目盛が付いているため長さを測ることができます。
  • 材質は、 JIS※でステンレスが指定されています。モノづくりの現場でサイズ感をさっと確認するため、15cmのものを携帯している方も多いのではないでしょうか。※ JIS B7506 金属製直尺(2005)
直尺
  • 「定規(Rules)」は、直線・曲線などの線を引いたり、カッターを当てて切断に使用する道具です。
  • “曲線”ともあるように、様々な曲率の曲線でできた雲形定規を想像していただくとわかる通り、必ずしも真っ直ぐではありませんし、また目盛もついていません(まったく余談ですが、雲形定規は英語で“Cloud Shape Ruler”、ではなく “French curve”と訳されます。ナンデ、、、?)。
定規(Rules)
  • 真っ直ぐの定規を直定規(“Straightedges”、ストレートエッジ)といいます。断面は長方形またはI型です。その使用面はμmオーダーで真っすぐ、かつ研磨された平面で、使用面が2面あるものはそれぞれの面が精密に平行となっています。
ストレートエッジ
  • また、L型のものもあり、これは直角定規といいます。精密な直角をしており、直定規と同様に使用面は平面・真っすぐです。
  • ※なお、「三角定規」のように、目盛の入っているものも一般的に「定規」と呼ばれているため、場合によっては、「ものさし」や「直尺」と同じ仲間に分類されていることもあります。
直角定規

直尺と直定規は「真っ直ぐ」がケタ違い

  • ●「直尺」は真っ直ぐな「定規」とものさしの機能を備えています。
  • ●また、直定規(“Straightedges”、ストレートエッジ)も真っ直ぐの定規です。
  • ●しかし“真っ直ぐ”を表す真直度を、JISでの許容値で較べると、まさにケタ違い。
    • 〇直尺  真直度 0.26mm    1級・300mm 70-100g程度
    • 〇直定規 真直度 3μm(0.003mm) A級・300mm 1,000g程度
真直度の許容差(直尺と直定規の比較)
  • ●工作物等の真直度を精密に確認する場面だと、直尺は直定規の代わりにはなりません。精密な真っ直ぐが必要な場合は直定規を使います。
  • ●使っていると変形・劣化する可能性もあるので、直尺は長さ、直定規は真直度というそれぞれの機能を定期的に校正で確認することも重要です。
  • ●用語も機能も少し似通っているところがある(?)ので、
  • ●ものさしのつもりで「30cm定規を貸して!」と言って、1kgの直定規を渡される可能性がある職場では、「30cmの直尺(又はものさし)を貸して」と伝えるようにすると、間違いが起きないと思います。
30cm定規!?

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