先日、引張圧縮試験機の校正を行う機会がありました。
校正の際、当社では標準器としてロードセルを使用しますが、ロードセルとは伸びや縮みの「荷重」を電気的な信号に変換するセンサで、校正時に誤って過荷重を加えると破損してしまうためより丁寧な取り扱いが求められます。
そこで今回、引張圧縮試験機にも使われている「ロードセル」について、改めてその原理や特長、試験方法をまとめてみました。
ロードセルの測定原理
- ●金属(抵抗体)は機械的な伸びや縮みを与えると、ある範囲で、かつ直線的にその電気抵抗も変化します。
- ●ロードセルはその原理を応用し、伸縮に比例して変形する起歪体とその歪みを電気的な変化量に変換する歪みゲージで構成され、歪みゲージから取り出した電気信号で「荷重」を測定します。
- ●また、歪みゲージは起歪体に接着剤で貼り付けますが、歪を妨げず電気的に絶縁性の高い素材が適しています。
ロードセル(起歪体)の特長
- ●試験材料に徐々に力を加えると応力と歪みは直線的に変化しますが、ある限度を超えるとこの関係が成り立たなくなります。この限界を比例限度と言います。
- ●この為、力が一定限度以下(比例限度以下)なら、突発的な力を加えても起歪体は破損しません。
- ●しかし力をジワジワ加えても、一定限度(比例限度)を超えると起歪体は変形してしまい元に戻らなくなります。
- ●以上より、直線性がより広い範囲で保証された、比例限度がより高い素材が起歪体には適しています。
構造からくる取扱いの注意点(その1)
- ●力を掛けるときは、比例限度を超えない。ジワジワと加圧する。→突発した力を掛けない。
- ●早い速度で荷重を掛けると、装置の加圧コントロールができなくなる。
- ●加重操作は、資格者が行って安全に加圧をコントロールする。
構造からくる取扱いの注意点(その2)
- ●力を掛けるときは、前後左右、中心軸に垂直に加重する。
- ●加重方向や取り付けの良否が、そのまま測定誤差になって現れる。
- ●想定増加荷重と操作量が異なる場合はすぐに操作を中断する。
- ●加重試験から続けて減重試験を行う場合など、必ず動作方向を確認してから操作する。
いずれにせよ特に最大荷重で試験する場合、お客様の大切な機器を壊さぬよう「荷重を加える際のテクニック」を手順書に組み入れロードセルの知識を学ぶことは勿論、細心の注意を払って作業を進めるようにしています。