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2022.10.27

校正のトピックスNo.612
【「点検」と「校正」】

今回は「点検」と「校正」といった言葉としての使われ方とその中で重要であると思われる事について考えてみたいと思います。

お客様との打合せの中での出来事です

  • 私:今年、1月に実施いただきました定期校正ですが、今期のご予定および校正の対象やその校正の仕様に変更はございますか?
  • お客様:今年も例年通り「〇〇〇装置点検」を実施する予定です。つきましては、お見積もりを宜しくお願いします。なお。今のところ校正の対象に変更はありません。また、校正の仕様にも変更はありません。後ほど依頼リストを提出します。
  • 私:承りました。なお、お見積書の名称は昨年同様に「〇〇〇装置点検(校正)」で宜しいでしょうか?
  • お客様:今年も「〇〇〇装置点検(校正)」でお願いします。以前、ご説明いただいたので、「点検」と「校正」の違いは理解していますが、購買上の品目として「点検」という名称が必要になります。
  • 私:承知しました。他部署の方が参照されたときや担当が代わられたときに「点検=校正」と混同されてしまいますので、品目として「校正」をご検討ください。
  • お客様:わかりました。実際、購買担当の中に「点検=校正」と解釈している方がいましたので、近日中にも対応できればと思っています。

この様に第三者の方はもちろん、当初は「点検≠校正」と理解されているお客様であっても、時間とともに「点検=校正」へと認識が変わってしまう事が心配です。

「点検」の定義「校正」の定義

今回、「点検」と「校正」について、その定義を調べ、表にしました。

点検 校正
不都合な箇所や異常がないかどうか、一つ一つ調べること。

参照:明鏡国語辞典
(「JIS Z 8101(統計−用語及び記号)」と「JIS Z 8103:2000(計測用語)」に「点検」の定義はありませんでした。)

計器又は測定系の示す値、若しくは実量器又は標準物質の表す値と、標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業。

参照:JIS Z 8103:2000(計測用語)

上記、定義を踏まえながら、「点検」と「校正」を具体的に考えてみました。

■点検

  • 「点検」の目的の一つは機器(計器など)に不都合な箇所や異常が無いか(⇒正常に動作するか)を調べる(⇒確認する)ことだと考えます。
  • 「点検」は対象となる機器(計器など)によって点検する項目が変わりますが、「計器」が対象の場合、点検項目に適切な指示を示すことの確認が含まれ、指示の確認には点検のための「測定標準(標準品や基準となる測定器など)」などが使用されているようです。

■校正

  • 「校正」の目的は計器の示す値を標準(トレースのとれた標準器・基準器など)と比較してその値の器差を示す(⇒正しい指示を示すこと・正しさを証明すること)ことだと考えます。
  • 「校正」には「調整」は含まれません。

「点検」は主に計器を使う前の日常の点検として実施し、「校正」はその計器の正しさの証明として実施します。どちらも計器を管理する上で重要な作業ですが、役割や目的が異なります。

■とはいっても似ている言葉を区別する難しさもあります

たとえば、「測定」「計測」「計量」などは違いをわかっていても混在して使ってしまう事があります。

ちなみに、これらの定義は次の通りです。

測定 計測 計量

ある量を,基準として用いる量と比較し数値又は符号を用いて表すこと。

参照:JIS Z 8103:2000(計測用語)

特定の目的をもって,事物を量的にとらえるための方法・手段を考究し,実施し,その結果を用い所期の目的を達成させること。

参照:JIS Z 8103:2000(計測用語)

公的に取り決めた測定標準を基礎とする計測。

参照:JIS Z 8103:2000(計測用語)

こんなちょっとした言葉の違いがコミュニケーションの齟齬につながる可能性もあります。

「校正」と呼んでいただくと嬉しいです

  • ● 「校正」と呼んで欲しいのは、いつか起こり得るトラブル、問題を無くしたいとの思いからです。
  • ● お客様のご事情に合わせて「点検」と「校正」を併記させていただきつつも、間接的に品質を守る「校正」を実施したんだという意味を大切にしていただけると嬉しいです。

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