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2023.02.02

【 自社の対応規格と他業種の規格での「校正」の違いを知りたい? 】

校正のトピックスNo.622

自社の対応規格と他業種の規格での「校正」の違いを知りたい?

お客様より、「自社はISO9001で運用しているが、その他の規格について校正はどうなっているの?」とお話をいただくことがあります。そこで、「校正」の視点でその他の規格をまとめてみたいと思いました。

ISO9001とそのセクター規格を「校正」視点で比較をしてみました

「セクター」とは部門や部署と言う意味です。ここの「セクター規格」とは業種を問わない「ISO9001」をベースとして、その専門業種に必要な要求事項を追加したものです。今回比較したISO9001とそのセクター規格は以下の通りです。

  • ISO9001:2015
    「品質マネジメントシステム−要求事項」
  • IATF16949:2016
    「自動車産業品質マネジメントシステム規格-自動車産業の生産部品及び関連するサービス部品の組織に対する品質マネジメントシステム要求事項」
  • ISO13485:2016
    「医療機器−品質マネジメントシステム−規制目的のための要求事項」
  • Q 9100:2016
    「品質マネジメントシステム−航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」

実際に横に並べて比べてみました

「校正」視点での相関表を作りました。相関表には具体的な要求事項の文書を入れました。

ISO9001:2015 IATF16949:2016 ISO13485:2016 Q 9100:2016
7.1.5 監視及び測定のための資源
7.1.5.1 一般
要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合,組織は,結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
a) 実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
b) その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。 組織は,監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。
7.1.5 監視及び測定のための資源
7.1.5.1 一般
ISO9001:2015を参照すること
7.6 監視機器及び測定機器の管理
規定した要求事項に対する製品の適合性を実証するために,組織は,実施する監視及び測定を明確にする。また,そのために必要な監視機器及び測定機器を明確にする。組織は,監視及び測定の要求事項との整合性を確保できる方法で監視及び測定が実施できること,及び実施することを確実にする手順を文書化する。測定値の妥当性を保証するために,必要がある場合は,測定機器に関し,次の事項を満たす。
7.1.5 監視及び測定のための資源
7.1.5.1 一般
要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合,組織は,結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし,提供しなければならない。組織は,用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
a) 実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
b) その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。
組織は,監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。
7.1.5.1.1 測定システム解析
7.1.5.2 測定のトレーサビリティ
測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。
7.1.5.2 測定のトレーサビリティ
ISO9001:2015を参照すること
a) 定めた間隔又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準にトレース可能な計量標準に照らして校正若しくは検証,又はその双方を実施する。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いた基準について記録する(4.2.5参照)。 7.1.5.2 測定のトレーサビリティ
測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。
a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。 a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。
b) 測定機器の調整をする,又は必要に応じて再調整をする。そのような調整又は再調整は記録する(4.2.5参照)。
b) それらの状態を明確にするために識別を行う。 c) 校正の状態が明確になるような識別がある。 b) それらの状態を明確にするために識別を行う。
c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。 測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし,必要に応じて,適切な処置をとらなければならない。 d) 測定した結果が無効になるような操作ができないようにする。 c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。
組織は,校正又は検証を必要とする監視機器及び測定機器の回収に対するプロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。
組織は,これらの監視機器及び測定機器の登録を維持しなければならない。登録には,機器の種類,固有の識別,配置場所,校正又は検証の方法,頻度及び判定基準を含めなければならない。
注記 監視機器及び測定機器には,検証データを作成するために用いる試験用ハードウェア,試験用ソフトウェア,自動試験機器(ATE)及びプロッタが含まれ得る(ただし,これらに限定しない。)。さらに,製品及びサービスの適合の根拠を与えるために用いる個人所有及び顧客支給の機器も含む。
監視機器及び測定機器の校正又は検証は,適切な環境条件の下で実施しなければならない(7.1.4参照)。
測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし,必要に応じて,適切な処置をとらなければならない。
e) 取扱い,保守及び保管において,損傷及び劣化しないように保護する。
組織は,文書化した手順に従い,校正又は検証を実施する。さらに,測定機器が要求事項に適合していないことが判明した場合には,組織は,その測定機器でそれまでに測定した結果の妥当性を評価し,記録する。組織は,その装置及び影響を受けた製品に関して,適切な処置をとる。
校正及び検証の結果の記録を維持する(4.2.5参照)。
組織は,監視及び測定の要求事項のために使用するコンピュータソフトウェアの適用のバリデーションの手順を文書化する。このようなソフトウェアの適用は,初回の使用前にバリデーションを行う。また,適切な場合,そのソフトウェア又は適用への変更後にバリデーションを行う。ソフトウェアのバリデーション及び再バリデーションに関する固有のアプローチ及び活動は,製品がその仕様に適合する能力への影響を含むソフトウェアの使用に伴うリスクに見合ったものとする。
バリデーションの結果及び結論並びに必要な処置の記録は,維持する(4.2.4及び4.2.5参照)。
注記 更なる情報は,JIS Q 10012を参照。

  • 相関表を見ると「IATF16949」「ISO13485」「Q 9100」は「ISO9001」をベースとしているため、「校正」の視点においてはほぼ同じ内容のようです。
    ただし、その他の部分では各規格が求めるその専門業種ならではのリスクを踏まえ、より厳しい要求を追加しているようです。

そこで、この相関表から「校正」とそれにまつわる一連の行為について、注意ポイントを考えてみました。

「校正」とそれにまつわる注意ポイント

  • ● キチンとした「測定システム」を使うこと
  • ● 校正作業者の「力量」を維持すること
  • ● 記録は「測定のトレーサビリティ」が確立されていること

「校正」というと「校正作業」だけをイメージしがちですが、作業の前後にある考え方や視点を含め、より広義の「校正」として考えることがポイントとなりそうです。

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