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2024.05.16

脚があったら立てて使うのが当たり前?計測器の置き方による影響

NKSメールマガジン No.5

人に教える時に、ふと気になる “それは正確な情報か?”

5月のゴールデンウィークも過ぎ、今年の新人研修が本格的に始まる時期になりました。また新年度の異動で新しくメンバーになった方へ仕事を教えている方も多いのではないでしょうか。

当社でも新入社員を対象に、計測器の取り扱いや作業手順の教育をしている真っ最中です。
計測器の取り扱いについて説明していると、基本的な事柄に対して質問を受けることがあります。

そこで今回は、人に教える時にふと気になった“正確な情報なのだろうか?”と思った事例についてご紹介します。

『 計測器の置く向き 』を教える場面での事例

先輩が新人に計測器の使い方についてレクチャーしている場面をイメージしてください。

新人:計測器に脚が2面(底面と背面)についている場合、どう置いて使うべきでしょうか?

先輩:“底面”と認識しているくらいなので、通常は計測器の底面が下になるよう水平に置いて使います。

新人:では背面が下になる(計測器が垂直に立った状態)向きでも使えますか?

先輩経験上、脚がついているならいずれの向きでも使えるものが多い。この機種も確か立てて使えたと思う

ほとんどの場合はキチンと回答しているのですが、当社はメーカや機種を問わず幅広く対応しているため、時々「本当にそうだったっけ?」と回答に自信が持てない場合もあります。

先輩の回答は曖昧で不十分そうですが、実際にどうなるか見てみることにしました。

(事例)数値に影響はでる。しかし計測器の向きは水平、垂直のどちらでも使える。

今回は脚が2面(底面と背面)についている計測器の置く向きを変えて観察してみました。

【 対象計測器 】

・圧力計(型式 MT300/横河電機) 測定レンジ:0~130 kPa abs
・水平を基準として、置き方を変えた時の数値の変化を確認

【 置き方 】

■ 横置き(水平)

■ 縦置き(垂直)

■ 横倒し(参考)

【 観察結果 】

横置き(水平)を基準としたとき、垂直に置いたとき(縦置き)に差異が発生、参考に横倒しにしても差異が発生
計測器(圧力計)の置き方 圧力値(kPa)
横置き(水平) 0.000
縦置き(垂直) -0.285
横倒し(左)
0.189
横倒し(右) -0.184

計測器に脚がついてるなら、その面を下にして使ってもよさそうなものですが、今回は置き方による影響がでました(測定原理や機種によって結果は様々なため、あくまで一例です)。

因みに、この機種は水平(横置き)、垂直(縦置き)のいずれの置き方でも使うことができます

数値に影響がでているのにどういうことか?というと、その答えは手元にあります。

基本の教科書は“ 取扱説明書 ”。視点が違えば新たな気づきのチャンスかも。

取扱説明書には置き方について以下のように記述されていました。

傾斜アラームをOnにして、傾き補正をしてください

つまり、この機能を使うことで垂直姿勢で使う場合のオフセット(影響量)を補正することができます。同様の計測器の使用経験があれば、取扱説明書を読まなくても、使えることが多いでしょう。一方で、同メーカー・後継機だから、、、と取扱説明書をよく読まずに使用すると、経験上の誤解や思い込みから誤った使い方をしたり、間違った内容を人に教えてしまう可能性があります。

今回の質問「背面が下になる(計測器が垂直に立った状態)向きで使えるか?」に対して、“水平でしか使えない”という回答は誤りですし、“水平・垂直のいずれでも使える”との回答は不十分です。先輩の回答として正確にいうなら「水平、垂直のいずれでも使えるが垂直の場合は傾き補正が必要」となります。

取扱説明書には、安全面や正確に測るためのルールなど、正しい使い方が記載されています。作業で馴染みのある計測器の取扱説明書でも、人に教える視点で読んでみると意外な気づきをする事もあります。機会があれば、改めて目を通して基本を確認してみてはいかがでしょうか。

キャリブレーション・バリデーション(適格性評価)について「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。


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