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業務に活える校正技術情報
2024.07.11
NKSメールマガジン No.13
▶ あるお客様から「ISO13485におけるバリデーションとGMP省令のバリデーションの違いを知りたい」というご相談を受けました。「医療機器のISO13485」と「医薬品及び医薬部外品のGMP省令」をあらためて規格要求を対比してみると、どちらも「バリデーション」を行う必要があることは各規制の内容からも明確ですし、本質的には同じです。
しかし、たとえばこれまではGMP省令だけで良かったけれども、担当製品が増えてISO13485も扱う事になると、当然のことながら、各規格で用いる言葉の意味などが少し異なっていて、どちらか片方に馴染んてから、もう片方を読むとGMP省令とISO13485の言葉の違いに戸惑うこともありそうと新たな気づきがありました。
そこで、 今回は同じ用語でもところ変われば意味がかわる身近な例として「プロセスバリデーション」についてご紹介しますので、一例として参考にしていただければ幸いです。
▶ GMP省令とISO13485のどちらにも「プロセスバリデーション」という言葉が使われていますが、言葉の意味がちょっと違うように感じました。
GMP省令
・・・前略・・・
(5)バリデーションの種類等
バリデーションは、GMP省令 第13条第1項第1号及び第41条第1項第1号の各場合に応じて、次に掲げる種類に大別される。
①適格性評価(Qualification)
・・・中略・・・
②プロセスバリデーション(Process Validation:PV)
工業化研究の結果、既存の類似製品の製造実績等に基づく製品品質への影響要因(例えば、原料等の物性、操作条件等)を考慮して設定した許容条件の下で 工程が稼働し、求められる品質の製品が恒常的に得られる妥当な工程である旨を検証し、文書とする。
・・・中略・・・
PVを行うに当たっては、次に掲げる点を考慮することが求められる。
(ア)PVを始める前までに、そのPVで用いる設備、装置又はシステムについて適切に適格性評価を済ませてあること。
(イ)PVを始める前までに、そのPVで用いる試験方法の妥当性について適切に評価を済ませてあること。
(ウ)PVは、原則として、商業生産スケールで製品3ロットを繰り返し製造した結果に基づく又はそれと同等以上の手法により行うものであること。
(エ)通常、当該工程を経た製品について、その製造所からの出荷の可否を決定する前までに、PVが完了していること。
・・・後略・・・
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(薬生監麻発0428第2号)(令和3年4月28日)
GMP省令では「第4 バリデーション指針」、「(5)バリデーションの種類等」の「②プロセスバリデーション(Process Validation:PV)」で説明されているのですが、医薬品製造の方との会話の中ではプロセスバリデーションすると言えば、「(ウ)PVは、原則として、商業生産スケールで製品3ロットを繰り返し製造した結果に基づく又はそれと同等以上の手法」に基づいて対応することを意味しながら話されています。
ISO13485
・・・前略・・・
7.5.6 製造及びサービス提供に関するプロセスのバリデーション
製造及びサービス提供の過程で結果として生じるアウトプットが、それ以降の監視又は測定で検証することが不可能であるか検証を実施しない場合は、製品が使用され又はサービスを提供した後でだけしか不具合が顕在化しないため、組織は、その製造及びサービス提供の該当するプロセスのバリデーションを行う。
バリデーションによって,これらのプロセスが計画どおりの結果を一貫して出せることを実証する。組織は、次を含むプロセスのバリデーションの手順を文書化する。
a)プロセスのレビュー及び承認のために定めた判断基準
b)設備の認定及び要員の資格認定
c)特定の方法、手順及び判断基準の使用
d)適切な場合、サンプルサイズの根拠となる統計的手法
e)記録に関する要求事項(4.2.5参照)
f)再バリデーションの判断基準を含む、再バリデーション
g)プロセスに対する変更の承認
組織は、製造及びサービス提供のために使用するコンピュータソフトウェアの適用のバリデーションの手順を文書化する。このようなソフトウェアの適用は、初回の使用前にバリデーションを行う。また、適切な場合、そのソフトウェア又は適用の変更後に、バリデーションを行う。ソフトウェアのバリデーション及び再バリデーションに関する固有のアプローチ及び活動は、製品がその仕様に適合する能力への影響を含むソフトウェアの使用に伴うリスクに見合ったものとする。バリデーションの結果及び結論並びに必要な処置の記録は、維持する(4.2.4及び4.2.5参照)。
7.5.7 滅菌及び無菌バリアシステムのプロセスのバリデーションに対する特別要求事項
組織は、滅菌及び無菌バリアシステムのプロセスのバリデーションに対して手順(4.2.4参照)を文書化する。滅菌及び無菌バリアシステムのプロセスは、最初の使用及び適切な場合には、その後の製品又はプロセスの変更に先立ってバリデーションを行う。バリデーションの結果及び結論並びに必要な処置の記録は、維持する(4.2.4及び4.2.5参照)。注記 更なる情報は、JIS T 0841-1及びJIS T 0841-2を参照。
・・・後略・・・
Q 13485:2018(ISO 13485:2016) 医療機器−品質マネジメントシステム−規制目的のための要求事項
一方でISO13485に出てくる「プロセスのバリデーション」は、基準を示すGMP省令のPVとは視点が異なり、より広義のプロセスアプローチ手法を元にした話をしています。「プロセスのバリデーション」 という言葉は、「7.5.6 製造及びサービス提供に関するプロセスのバリデーション」および「7.5.7 滅菌及び無菌バリアシステムのプロセスのバリデーションに対する特別要求事項」で使用されているのですが、プロセスバリデーションではなく「プロセスのバリデーション」となっているところが注目点です。
つまり、バリデーションの具体的な基準を示しているのでなく、どのプロセスに対してバリデーションをすべきなのかを検討する際の対象範囲を示していると理解をすれば、違いが見えやすくなるのではないでしょうか。
ちなみに、ここで言う「プロセス」はGMP省令の中では「工程」と表現されています。この表現の違いもやや混乱を招く要素となっているのではないかと思われます。
「プロセスのバリデーション」としてバリデーションの対象は以下のプロセスです。
▶ 今回は、 「ISO13485におけるバリデーションとGMP省令のバリデーションの違いを知りたい」と言うお客様のご相談から、主に「プロセスバリデーション」という言葉に焦点を当てて「同じ用語でも規格による意味合いの違いがある?」を考えてみました。いかがでしたか?
一例として参考になれば幸いです。
弊社としてはお客様の背景を知って、会話や打合せをすることの大切さを改めて感じました。
GMP省令
ISO13485
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