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2024.12.19

変更時の再?バリデーション、なにをするの?

NKSメールマガジン No.35

変更時の再?バリデーション

前回、“ 導入時だけじゃない!製造設備の「バリデーション」 ”をお読みいただいたお客様より、「 “定期的な再バリデーション” 、があるのなら、 “変更時の再バリデーション”も必要になり、考慮すべき点があるのでは? 」とのご意見をいただきました。

そこで、今回は「 変更時の再?バリデーション 」を考えてみたいと思います。

変更時のバリデーションとは?

GMP省令 」 では 「 変更時のバリデーション 」 は以下のように定義されています。

変更時のバリデーション

・・・前略・・・

⑤ 変更時のバリデーション

設備、装置若しくはシステム、製造工程(使用する原料等を含む。)、洗浄作業作業に用いる洗浄剤、器具等を含む。)又は試験検査の方法について、製品品質(繰返し製造時の再現性を含む。)に大きな影響を及ぼす変更がある場合(GMP省令第 13 条第1項第1号ロ及び第 41 条第1項第1号ロの場合)において、同令第 14 条又は第 42 条 に規定する変更の管理の一環として、あらためて適格性評価、プロセスバリデーション又は洗浄バリデーションを行う。変更時のバリデーションを行う範囲については、その変更が製品品質に及ぼす影響の内容等を踏まえ、製造業者等が定めるものであり、例えば次に掲げる変更が考えられるが、これらの変更のみに限定されるものではない 。

・・・後略・・・

医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(薬生監麻発0428第2号令和3年4月28日)

⑤ 変更時のバリデーション とは、
「 ~ 製品品質(繰返し製造時の再現性を含む)に大きな影響を及ぼす変更がある場合において変更の管理の一環として、あらためて適格性評価、プロセスバリデーション又は洗浄バリデーションを行う。 ~ 」ことです。つまり、変更があった場合には、「導入時のバリデーション」や「再バリデーション」とは目的が異なったバリデーションを行うことになります。

対して ④ 再バリデーション とは、
「 ~ 管理された状態を維持している旨を再確認するため、定期的に適格性評価、プロセスバリデーション又は洗浄バリデーションを行う。 ~ 」ことです。つまり、再バリデーションの目的は以前と同じバリデーションを行い、製品品質が変わっていない事を確認することです。

よって、今回お客様が言われた「変更時のバリデーション」とは、「 ⑤ 変更時のバリデーション 」のことを指していると思われます。

このようにGMP省令では、「 」が付くか付かないかで目的や意味合いが変わってくるようです。

変更時のバリデーションではなにをするの?

変更時のバリデーションでは何をするのかを考えてみました。

なお、変更時というからには、変更前が存在します。ここでは導入時を経て実生産に入ってしばらく変更がなかった状態からの変更時のバリデーションと仮定して考えてみました。

GMP省令に「 ~ 製品品質(繰返し製造時の再現性を含む)に大きな影響を及ぼす変更がある場合において変更の管理の一環として、あらためて適格性評価、プロセスバリデーション又は洗浄バリデーションを行う。 ~ 」とありましたので、実施することは「 影響を評価すること 」およびその影響が大きい場合は「 あらためて適格性評価、プロセスバリデーション又は洗浄バリデーションを行うこと 」の2つと考えました。

そして、変更による影響を評価するにはどんなことをしなければならないのかを「 ISO9001:2015 」、「 PIC/S GMPガイドライン 」、「 ICH 」、「 QC(品質管理) 」などの資料を参考に大まかに考えてみました。

変更による影響を評価し、適格性評価・プロセスバリデーション・洗浄バリデーションをあらためて行う

1. 変更内容を明確化する

・ 変更の範囲を特定する:変更がどのプロセスや製品に影響するのかを明確にする。

・ 変更の目的を確認する:変更の理由や目的を明確にする。

2. 変更前(現行)を分析する

・ 変更前のプロセスを徹底的に分析し、依存関係や制約条件を把握する。

・ 変更前の運用データや過去の類似変更の記録を収集する(直近の現行データが無い場合は再バリデーションを検討する)。

3. 影響範囲を特定する

・ 直接的影響:変更が直接的にどの部分に影響を及ぼすか明確にする。

・ 間接的影響:依存関係や連鎖的な影響を分析する。

4. リスクを評価する

・ リスクの特定/リスクの分析/リスクの評価

・ コスト・メリット分析

5. 変更マネジメントを踏まえバリデーションを実施する

6. シミュレーション・テストを実施する

・ 試験運用

・ 結果の評価、反映

7. 文書として記録する

・ 影響の詳細な記録書(計画書)

・ 定量的、定性的なデータを基に変更の影響を報告書としてまとめる

8. 関係者とコミュニケーションをとって意思決定をする

・ ステークホルダー、関係者に説明する

・ ステークホルダー、関係者の合意(承認)を得て、最終的な意思決定を行う

ここでは一つの考え方を示しました。

変更の内容を査定するのは大変!

このように考えると、あらためて変更の内容を査定するだけで大変だ!と思えてきます。

変更箇所とその影響範囲を考え、バリデーションを実施する場合の正当性を証明して…と悩み始めると、「導入時のバリデーション」と同じ内容を実施すればあっさり問題解決するのでは?と考えてしまいそうです。しかし、そうはうまくいかない場合もあり、「変更」が意図せぬ新たな「変化」の要因になり得るとの資料を見つけ、目から鱗が落ちる思いでした。

実際、過去にお客様の製造ライン上の計測システムのキャリブレーションの事例で、お客様と打合せ後に調整を実施した際、正しく調整したにもかかわらず、試験運用確認で不具合が出たことがありました。これは調整という計測システム上、正しい「変更」が、新たな「変化」の要因になり、製品品質へ影響を与えてしまうケースが本当にあったんです。そのため、「やっぱり、変更の内容により査定し判断する必要がある!」と思いました。

そのような理由で、「 変更時のバリデーション 」ではなくあくまでも「 変更時のバリデーション 」だという認識が重要だと考えます。

最適な「適格性評価」や「校正(キャリブレーション)」をお届けしています

このように「変更時のバリデーション」においても状況を把握する上で「校正(キャリブレーション)」や「適格性評価」が重要であることがわかります。

エヌケイエスでは様々な「規格」や「生産形態」を踏まえ、お客様に合ったバリデーション計画書/報告書・適格性評価(IQ/OQ/PQ)・校正(キャリブレーション)を承ります。なお、「 無料オンライン相談会 」からご相談していただくこともできます。

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