MENU
COLUMN
コラム
2025.03.12規格
同じ用語でも規格による意味合いの違いがある(ありそう)?
同じ用語でも規格による意味合いの違いがある(ありそう)?
- あるお客様から「ISO13485におけるバリデーションとGMP省令のバリデーションの違いを知りたい」というご相談を受けました。
- 「医療機器のISO13485」と「医薬品及び医薬部外品のGMP省令」をあらためて規格要求を対比してみると、どちらも「バリデーション」を行う必要があることは各規制の内容からも明確ですし、本質的には同じです。
- しかし、たとえばこれまではGMP省令だけで良かったけれども、担当製品が増えてISO13485も扱う事になると、当然のことながら、各規格で用いる言葉の意味などが少し異なっていて、どちらか片方に馴染んてから、もう片方を読むとGMP省令とISO13485の言葉の違いに戸惑うこともありそうと新たな気づきがありました。
- そこで、 今回は同じ用語でもところ変われば意味がかわる身近な例として「プロセスバリデーション」についてご紹介しますので、一例として参考にしていただければ幸いです。

例えばGMP省令とISO13485のプロセスバリデーション
- GMP省令とISO13485のどちらにも「プロセスバリデーション」という言葉が使われていますが、言葉の意味がちょっと違うように感じました。
GMP省令
- 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(薬生監麻発0428第2号)(令和3年4月28日)
- GMP省令では「第4 バリデーション指針」、「(5)バリデーションの種類等」の「②プロセスバリデーション(Process Validation:PV)」で説明されているのですが、医薬品製造の方との会話の中ではプロセスバリデーションすると言えば、「(ウ)PVは、原則として、商業生産スケールで製品3ロットを繰り返し製造した結果に基づく又はそれと同等以上の手法」に基づいて対応することを意味しながら話されています。
ISO13485
- Q 13485:2018(ISO 13485:2016) 医療機器−品質マネジメントシステム−規制目的のための要求事項
- 一方でISO13485に出てくる「プロセスのバリデーション」は、基準を示すGMP省令のPVとは視点が異なり、より広義のプロセスアプローチ手法を元にした話をしています。
- 「プロセスのバリデーション」 という言葉は、「7.5.6 製造及びサービス提供に関するプロセスのバリデーション」および「7.5.7 滅菌及び無菌バリアシステムのプロセスのバリデーションに対する特別要求事項」で使用されているのですが、プロセスバリデーションではなく「プロセスのバリデーション」となっているところが注目点です。
- つまり、バリデーションの具体的な基準を示しているのでなく、どのプロセスに対してバリデーションをすべきなのかを検討する際の対象範囲を示していると理解をすれば、違いが見えやすくなるのではないでしょうか。
- ちなみに、ここで言う「プロセス」はGMP省令の中では「工程」と表現されています。この表現の違いもやや混乱を招く要素となっているのではないかと思われます。
- 「プロセスのバリデーション」としてバリデーションの対象は以下のプロセスです。
品質マネジメントシステムで使用するコンピュータソフトウェア |
製造及びサービス提供のために使用するコンピュータソフトウェ |
監視及び測定の要求事項のために使用するコンピュータソフトウェア |
設計・開発 |
製造及びサービス提供に関するプロセス |
滅菌及び無菌バリアシステムのプロセス |
さいごに
- 今回は、 「ISO13485におけるバリデーションとGMP省令のバリデーションの違いを知りたい」と言うお客様のご相談から、主に「プロセスバリデーション」という言葉に焦点を当てて「同じ用語でも規格による意味合いの違いがある?」を考えてみました。いかがでしたか?
一例として参考になれば幸いです。 - 弊社としてはお客様の背景を知って、会話や打合せをすることの大切さを改めて感じました。
GMP省令
ISO13485
- キャリブレーション・バリデーション(適格性評価)について「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
お役立ち情報に関する各ページ