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2010.03.18

校正のトピックスNo.39
【熱電式温度計:
 補償導線を直接つながないと温度指示値が変わる?】

NKS流「ためしてガッテン!」

補償導線のつなぎ方による温度指示への影響

  • 以前、温度計の周囲温度による測定誤差を取り上げましたが、今回は、熱電式温度計の補償導線のつなぎ方による影響を取り上げます。
  • 熱電式温度計は、温度を正しく表示するため、専用の補償導線で熱電対と直接接続されます。
  • 実際の現場では、時々、制御盤の中継端子から温度計までを通常の電線(銅導線)で配線されていることがあります。
  • 中継端子と温度計間を銅導線で配線した場合、中継端子の温度が変わったとき、温度計の指示値が、どう変化するかを実験しました。

中継端子の温度によって、指示値がどうなるかを実験しました

  • 【実験に使用した標準器及び測定器】
    (1)電圧発生器:CA150 横河電機社製
    (2)実験に用いた被測定器:
    ◎温度指示調節計:UT450  入力レンジ:K熱電対-270.0~1370.0℃
    測定環境:20℃ 横河M&D社製
  • [実験1]…中継端子から銅導線で配線した場合
    (1)初めに、周囲温度20℃の環境で、温度計を1時間以上ウオーミングアップを行い、
    今回の実験に温度計のウオーミング時間による影響がでないようにしました。
    (2)中継端子の温度を20℃から、22℃、24℃、26℃と2℃ずつ上げて、
    各温度で30分以上の温度慣らしした後、模擬入力温度0℃と500℃の
    温度指示値の変化を測定。
    (3)同様に、中継端子の温度を18℃、16℃、14℃と-2℃ずつ下げた場合
    の、模擬入力温度0℃と500℃の温度指示値の変化を測定しました。

    [実験2]…すべてを補償導線で配線した場合
    (1)環境温度20℃で、温度計を1時間温度慣らしした後、
    (2)実験1と同様に、中継端子を2℃ずつ上げ下げしたときの、模擬入力温度0℃
    と500℃の温度指示値の変化を測定しました。

中継端子の周囲温度を変えたときの温度指示値の変化は?

  • [実験1の結果から]
    中継端子から銅導線で配線した場合は、中継端子の温度を変えたとき、
    (1)中継端子の温度を20℃から、22→24→26℃と2℃ずつ上げた場合は
    入力0℃、500℃ いずれも指示値は-2℃ずつ下がり、
    (2)中継端子の温度を20℃から、18→16→14℃と2℃ずつ下げた場合は
    入力0℃、500℃ いずれも指示値は2℃ずつ上がりました。
  • [実験2の結果から]
    すべて補償導線で配線した場合は、中継端子の温度を変えても温度指示値は
    殆ど変化しませんでした。

補償導線を直接つながないことによる影響は

  • 今回の実験で、補償導線を途中で銅導線につなぎ変えた場合、

    (1)中継端子の周囲温度 > 温度計の周囲温度 では、指示値は低くなり、
    (2)中継端子の周囲温度 < 温度計の周囲温度 では、指示値が高くなる

    (3)また、変化した温度は、中継端子と温度計の各周囲温度の温度差分だけ、
    低くなったり、高くなったりすることが分かりました。

  • 熱電対から引かれた補償導線を途中から銅導線で配線されると、温度計の指示値を狂わせる要因になります。必ず、温度計まで補償導線で配線して下さい。
  • また、補償導線は、熱電対の種類によって、それぞれ専用の補償導線を使う必要があります。
  • ちなみに、補償導線の表面被覆の色は、JIS C 1610-1995 で色分けが決められています。 現在は、色別が2タイプ(区分1と区分2)ありますが、区分2は将来廃止されます。
    従って、新しく補償導線を使用される場合は、区分2のタイプをお勧めします。

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