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2023.02.09

【 残り座席はあと僅か?接頭語に使える文字 】

校正のトピックスNo.623

接頭語の筆頭格はk、M、m。一方、新顔のQ、Rをご存じでしょうか?

  • ● kg、MHz、mmなど、接頭語のk(キロ)、M(メガ)、m(ミリ)は、それらを“接頭語”と意識することもないくらい、日常よく使います。
  • ● “新顔”と記載した『Q、R』は、最近追加された『SI接頭語』です。
  • ● 追加されたのは昨年(2022年)の11月で、じつに31年ぶりの追加です。以前のメルマガでも追加予定と取り上げていましたが、予定通り追加されました。
    (関連記事:校正のトピックスNo.603【 k、m、μにくっつく単位と言えば?超大きい&超小さい接頭語が11月に仲間入り(予定)】
  • ● 因みに、追加されたのは以下の4つで、以下の表「SI接頭語の名称と記号、十進数表記と制定年」の赤字部分にあたります。
    • 10の30乗 クエタ( quetta、記号Q )
    • 10の27乗 ロナ( ronna、記号R )
    • 10の-27乗 ロント( ronto、記号r )
    • 10の-30乗 クエクト( quecto、記号q )
SI接頭語の名称と記号、十進数表記と制定年 (赤字はこの度追加されたもの) 出典:NMIJwebサイト“SI接頭語、追加決定”,(参照2023-02-06)
名称 記号 指数表記 十進数表記 制定年
クエタ(quetta) Q 1030 1 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 2022
ロナ(ronna) R 1027 1 000 000 000 000 000 000 000 000 000 2022
ヨタ(yotta) Y 1024 1 000 000 000 000 000 000 000 000 1991
ゼタ(zetta) Z 1021 1 000 000 000 000 000 000 000 1991
エクサ(exa) E 1018 1 000 000 000 000 000 000 1975
ペタ(peta) P 1015 1 000 000 000 000 000 1975
テラ(tera) T 1012 1 000 000 000 000 1960
ギガ(giga) G 109 1 000 000 000 1960
メガ(mega) M 106 1 000 000 1960
キロ(kilo) k 103 1 000 1960
ヘクト(hecto) h 102 100 1960
デカ(deca) da 101 10 1960
デシ(deci) d 10-1 0.1 1960
センチ(centi) c 10-2 0.01 1960
ミリ(milli) m 10-3 0.001 1960
マイクロ(micro) μ 10-6 0.000 001 1960
ナノ(nano) n 10-9 0.000 000 001 1960
ピコ(pico) p 10-12 0.000 000 000 001 1960
フェムト(femto) f 10-15 0.000 000 000 000 001 1964
アト(atto) a 10-18 0.000 000 000 000 000 001 1964
ゼプト(zepto) z 10-21 0.000 000 000 000 000 000 001 1991
ヨクト(yocto) y 10-24 0.000 000 000 000 000 000 000 001 1991
ロント(ronto) r 10-27 0.000 000 000 000 000 000 000 000 001 2022
クエクト(quecto) q 10-30 0.000 000 000 000 000 000 000 000 000 001 2022
  • ● この表には1030~10-30まで、大文字・小文字合わせて接頭語に『24』もの記号が使われています。
  • ● 一方、アルファベットは『26文字』です。
  • ● ふと、これ以上を接頭語を増やせないのでは?と思い、現状使われている記号を見てみることにしました。

アルファベット記号の使用率は7割超、追加する記号の選択肢(残り座席)はほぼない

  • ● 接頭語24個のうち、同じアルファベットの大文字(Q、1030)・小文字(q、10-30)で表しているものもありますが、いずれにせよ既にSI単位となっているものは使えません。
  • ● SI単位や接頭語に使っているアルファベットは以下の表「SI接頭語の記号候補となるアルファベットの使用率は7割超」の通りです。
    黄色はSI接頭語緑色はSI単位オレンジ色は非SI単位
  • ● 見てお分かりの通り、アルファベット26文字のうち、実に20個もの文字が大文字又は小文字でSI単位、接頭語で使われています。
SI接頭語の記号候補となるアルファベットの使用率は7割超 (赤字はこの度追加されたもの) NMIJwebサイト“SI接頭語、追加決定 -SI接頭語の記号候補となるアルファベットの検討-”,(参照2023-02-06)の内容を元に編集
文字 使用状況
小文字 大文字
a, A SI接頭語「アト」(10-18 電流のSI基本単位「アンペア」
b, B 面積の非SI単位「バーン」
(1 b = 100 fm2
比の対数の非SI単位「ベル」
情報量の単位「バイト」
c, C SI接頭語「センチ」(10-2 電荷量のSI単位「クーロン」
d, D SI接頭語「デシ」(10-1
e, E エネルギーの非SI単位「電子ボルト」(eV) SI接頭語「エクサ」(1018
f, F SI接頭語「フェムト」(10-15 静電容量のSI単位「ファラド」
g, G 質量のSI単位「グラム」 SI接頭語「ギガ」(109
h, H SI接頭語「ヘクト」(102 インダクタンスのSI単位「ヘンリー」
i, I 虚数 i や数字の1と混同する恐れがあるため除外
j, J エネルギー量のSI単位「ジュール」
k, K SI接頭語「キロ」(103 熱力学温度のSI基本単位「ケルビン」
l, L 体積の非SI単位「リットル」
m, M 長さのSI基本単位「メートル」 SI接頭語「メガ」(106
SI接頭語「ミリ」(10-3
n, N SI接頭語「ナノ」(10-9 力のSI単位「ニュートン」
o, O 数字の0と混同する恐れがあるため除外
p, P SI接頭語「ピコ」(10-12 SI接頭語「ペタ」(1015
q, Q SI接頭語「クエクト」(10-30 SI接頭語「クエタ」(1030
r, R SI接頭語「ロント」(10-27 SI接頭語「ロナ」(1027
s, S 時間のSI基本単位「秒」 コンダクタンスのSI単位「ジーメンス」
t, T 質量の非SI単位「トン」 磁束密度のSI単位「テスラ」
SI接頭語「テラ」(1012
u, U マイクロと混同する恐れがあるため除外
v, V 電圧のSI単位「ボルト」
w, W 電力のSI単位「ワット」
x, X 積の演算記号と混同する恐れがあるため除外
y, Y SI接頭語「ヨクト」(10-24 SI接頭語「ヨタ」(1024
z, Z SI接頭語「ゼプト」(10-21 SI接頭語「ゼタ」(1021
凡例 SI接頭語(赤字は2022.11に新規追加)
SI基本単位、SI単位
非SI単位
  • ● このうち、SI単位、SI接頭語に使われていない、6文字は以下の通り。
小文字 大文字
b, B 面積の非SI単位「バーン」
(1 b = 100 fm2
比の対数の非SI単位「ベル」
情報量の単位「バイト」
i, I 虚数 i や数字の1と混同する恐れがあるため除外
l, L 体積の非SI単位「リットル」
o, O 数字の0と混同する恐れがあるため除外
u, U マイクロと混同する恐れがあるため除外
x, X 積の演算記号と混同する恐れがあるため除外
  • ● アルファベット26文字中6文字が使われていないので一見、空席が有るように思えます。
  • ● しかし、計算上や表記上で見間違う可能性から使えなさそうな文字が4個あります(o(オー)やx(エックス))。さらに、体積のl、Lは非SI単位ではあるものの、日常生活での使用頻度も高く、これを接頭語とするのも難しいように思います。
  • ● とにかく、殆どの記号が使われていて(座席が埋まっていて)、次に接頭語を加える必要性が出たときの選択肢はほとんどないことがお分かりいただけるかと思います。

次の新顔はb,B?答え合わせは大分先になりそう

  • ● 先述の通り、殆どの記号が使われており、次に接頭語を追加する際は(b,B)くらいしか使えるものが無いように思えます。
  • ● とはいえ、昨年のQ,R(とq,r)の追加は31年ぶりでした。
  • ● R(ロナ)を使えば、果てしない宇宙のサイズを小数点以下の数字で表せますし(0.13Rm)、Q(クエタ)では太陽の重さすらグラムで表せます(1989Qg)
  • ● 果たして新しく追加されたR,Qを使う機会が来るかも怪しいですが、次に桁数が不足した際に何の記号が追加されるのか?気長に待ちたいと思います。

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